設立の経緯と目的
GIISワーキングサイトをご覧の皆様へ
このサイトは始め、名古屋のムスリマたちによって立ち上げられました。
トップページにもあるように、立ち上げた目的は、日本に限らず、日本のムスリム子弟のイスラーム教育に関心を持つ方たちのイスラーム教育やムスリム子弟の子育てに関するご意見や貴重な情報を交換するための場とすることです。
それは、「何をやって良いかわからないから誰か教えて」という他人任せのスタンスではなく、日本のムスリム子弟の教育にあたり、在日ムスリムたちがどのような問題と直面しているのか、そしてそれに対して、どのような解決を実行したのかあるいは期待しているのか、それらを、奮闘中の親世代だけでなく当の子世代も含め、狭い地域に限らずネット上で広く集めることによって、日本におけるイスラーム教育機関に欠かせない要素を見極め、一つ一つ拾い出していきたいと考えています。
そしてそこから得た有益な情報を元にした、GIIS設立を目指しています。
読者の皆様もご存知かと思いますが、ムスリム子弟の平均年齢の広がりには地域差があります。
1980年代の第一次出稼ぎブームで来日した外国人ムスリムの多くは、東京近郊で職を得、国際結婚して定住に至っており、ムスリム子弟の平均年齢は全体的に高く、高校生・大学生の数も多くすでに結婚して第三世代をもうけているケースもあります。
一方で、1990年代に入ってからの第二次出稼ぎブームで来日したムスリムは、外国人労働者が飽和状態にある関東地域を嫌って、名古屋のような地方都市へ移動して職を得、その地で国際結婚して定住に至ったケースが一般的であり、必然的に名古屋周辺のムスリム子弟の平均年齢は全体的に低く、圧倒的に小学生の数が多いのが現状です。
地方都市までが飽和状態になることでその他の地方に移動したムスリムの定住はそこからさらに10年ほど遅れて、国際結婚による子弟の誕生も遅く、現在はほとんどが幼児だったするのではないでしょうか。
そうなると、ムスリム子弟の年齢によって直面する教育問題にも、地域によって時差が生じてきます。
現在名古屋周辺のムスリムが抱える、例えば小学校の給食や体育の着替え、プール、修学旅行などの問題は、東京近郊のムスリムにとってはすでに馴染みのもので、勉強会や親しいムスリム同士の集まりの中で情報交換がなされて、すでに解決済みかもしれません。
逆に、現在東京近郊のムスリム子弟とその家族が抱えている問題は、名古屋周辺のムスリムにとっては未知のもので、文化祭の打ち上げに参加できないとか、制服を改良してスカートの代わりにパンツで登校している女子学生の話を具体的に聞いてみて初めて、自分たちがまた新たに乗り越えなければならないハードルを覚悟しているというのが現状です。
最近国際結婚したばかりの、地方に住むムスリムが幼児を育てながら出会う問題に(何語で話しかけて育てるかとか、お弁当持参の幼稚園をどう見つけるかとか、クリスマス会は欠席させるべきかどうかなど)、十年選手の名古屋周辺のムスリムが、そのハードルをちょうど乗り越えてきた経験からアドバイスできるように、さらにもう十年先輩の東京近郊のムスリムからは、経験をもとにした貴重な意見が必ず得られると思っています。
もちろん、意見は東京近郊のムスリムからに限りません。
地方で幼い子弟を抱えながら将来の教育に不安を感じているムスリムからの意見も貴重ですし、外国で子弟の教育をされている方からは、実際のイスラーム教育機関の現状についての意見も伺いたいです。
そういう意味で、日本で初めてとなるであろうイスラーム教育機関の方向性は、名古屋周辺のムスリムだけの話し合いだけで決定すべきものではなく、広く意見を募集して、現状を把握することとこれからの問題を認識することからはじめなければならないと考えました。
地域差、時差、男女差、いろいろな差異のある中でのさまざまな問題を認識した上で、これからの日本のイスラーム共同体を担っていくムスリム第二世代に、最も有益なサポートができる場を提供できるよう、やはり広く意見を募集していく必要があると思います。
以上のことを踏まえて、皆様にGIISワーキングサイトに情報や意見をお寄せいただければ幸いです。